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Okeno Catanikus +T

非電源卓上遊戯の話題をつらつら綴ったり綴らなかったり。

ふるきもの、あたらしきもの。

グループSNEが2月末に発売するライナー・クニツィアの『ロイヤルターフ』というボードゲームについて、Twitter上で少々話題になっている。もう少し正確に話すと、2001年に発売された同名ゲームが2月末に再発売されるのだが、そのイラストワークがダサいという話なのである。

タイムライン上で流れてくるネガティブな意見は大体『元の方が良かった』というものである。それはそれで良いと思う。その評価は個人の感性によるものだし、その人達が持つゲームのプレイの記憶は、旧版の姿で想起されるのだから、元のほうが良い印象を持つのは当然だろう。ただダサいという話だけなら、『そうなんだ』程度で受け止めて終わりだった。筆を執る気にはならなかっただろう。

しかし、『グループSNEの犠牲になった名作ゲーム』と銘打たれ、『王宮のささやき』『王への請願』『王と道化』『ロイヤルターフ』←NEW、というリストが呟かれているのを目にして、深い憤りを感じた。その憤りを晴らそうと、筆を執ろうと思った次第だ。

今までグループSNEがリメイクした『王宮のささやき』『王への請願』『王と道化』に関して、リメイクがされて本当に良かったと思っている。イラストに描かれたキャラクターがケモノキャラだからという大変個人的な嗜好が絡んでいるのだが、それを抜きにしてなお、この作品に出会えて良かったと心の底から思っている。言い換えるなら、『この姿(新版)で出逢わなければ、このゲームは遊ぶことはなかっただろう』という、ある種の運命じみたものを感じているのだ。

これら三作品は、一通り楽しんだ後に、BGGでイラストワークを見に行ったことがある。そして『この姿(旧版)で出逢っていたらこのゲームは目の端にも留まらなかっただろう』と思った。中世ヨーロッパの貴族が描かせた自画像のようなイラストワークのダイスゲーム。苦手なケツアゴ髭面のいわゆるバタ臭いイラストの足引っ張り合いカードゲーム。繁華街に構えた自分の店に有名女優を引き込むというテーマのボードゲーム。どれも、この印象、説明だけでは全くもって自分の琴線に響かない。買うどころか、プレイするのも躊躇われる。事実、リメイクされるという話が出るまで、自分のアンテナには全く引っかからなかった。プレイしない状態での印象など、この程度でしか無いのだ。

現在これらのゲームを絶賛しているのは、勿論何度もプレイした結果によるものである。そのプレイに至ったのは、そもそも手に取るに至ったのは、リメイクがあってこそだった。全く興味を示さなかったゲームが姿を変えて自分の前に現れ、それによって自分はこのゲームを手に取った。興味を持ち、実際に楽しみ、更にその楽しみを広げようとした。これは、とても素晴らしいことなのだと思う。

同じゲームであるのなら、『新版が可愛くて良いな』『旧版の方が渋くて好き』くらいの言及で事足りるのはずである。それを、どうしてここまでこき下ろすのかが、正直分からない。ダサいとネガティブな評価をするだけならまだしも、まるで糾弾するように話しているのを見ると、『この人は本当にこのゲームが好きなのだろうか?』という疑いを抱いてしまう。それらの意見の裏にある『自分がダサいと思っているものは他の人間もダサいと思っているに違いない』という考えが透けて見えるようだ。その人が好きなのは、『そのゲーム』なのではなくて、『旧版を知っている、業界のご意見番たる自分』なのではないだろうか。『瑣末で些細な優越感から、上から目線でご意見番を自称している自分』になっているとも知らずに。

本当にこのゲームが好きなら、新版であれ何であれ難癖を言いふらすのはそのゲームを貶めているのと同義だと分からないのだろうか。

グループSNEのリメイクされた作品を『犠牲者』と呼ぶのなら、そのリメイクでそのゲームに出逢えた人達とその素敵な運命は、その『犠牲』の上に成り立っているということなのだろうか。『犠牲者』を買って『犠牲』になったと、勝手に決めつけるあなた方は何者だろうか。『犠牲者』と言いふらすあなた方が『加害者』になっているとは感じないだろうか。

素敵なボードゲームを、それらとの出逢いを、『犠牲』の一部として評価され一蹴されてしまう、こんな酷い話があるだろうか。

あってたまるか。

自分の好み云々を言うは良し。だけれども、自分の好みではないものを、ましてやそれが総意とでも言うような論調で語るのは、見ていて気持ちの良い物ではないと思った次第だ。

 

 

ただ、この話題の根源となってしまった『ロイヤルターフ』新版のデザインは正直個人的に好きになれない。これは『競馬』のイメージが日本寄りの、ビールと競馬新聞持ったおっさんがやっている『競馬』に見えるからである。ポップなのは良いが、欧風な感じが良かったのでは?とは思う。

※この記事はTwitterに勢いで書きなぐったものを加筆修正したものです